肥厚性腱鞘炎-バネ指とは?
おとなのバネ指についてお話します。
^どんな症状か?
親指に多くみられますが、他の指にもみられます。
50〜60歳の女性に多く、左右の比は4:6と言われ、
やや右に多いようです。
ふつうは、親指の運動、つまり曲げ伸ばし運動をすると、
親指の手のひら側の元の部分に痛みがあります。
指を曲げると伸ばせない、無理に伸ばすと痛いのが
特徴です。
指を曲げた際に、急にがくっと曲がってしまう。
この為バネ指と呼ばれています。
もっと悪くなると関節がよく動かない状態になって
しまいます。
朝起きると親指が曲がった状態で、無理に伸ばすと
痛いというのが最も多い患者さんの訴えです。
_原因は?
まず、腱と腱鞘についてお話しします。
腱とは? みなさん親指を曲げて伸ばしてみましょう。
(てのひらではないほう、手の背側を見て下さい)
最大に伸ばしたとき親指の背側から手の関節の
中央にかけて太いすじが見られると思います。
これが、腱です。親指を閉じたり、開いたりするとよく
動きます。
親指をいろいろな方向に動かしてみると、その隣の親指側に
も別の腱のすじが見えます。自分で触ってみるとよくわかり
ます。
この腱は最初の腱のようには動きません。なぜなら、
この腱は腱鞘、漢字で書くと腱の鞘と書きますが、
腱鞘というトンネルの中をはしっているからです。
腱鞘でしつかりと固定されているのです。手首の
この腱鞘に炎症が起こり、腱鞘が厚くなってしまうと、
手の関節の腱鞘炎となります。
バネ指が起こるのは手のひら側です。手のひらと、今、
腱を見ていた背側の皮膚をつまんでみると、
皮の厚さが全然違うことがわかります。
手のひらの皮は厚く、腱を見ることはできませんが、
手のひらの深い所にも腱と腱鞘があるのです。
手や指を使いすぎると、慢性的な、機械的刺激が原因となり、
炎症が起こり腱鞘炎から腱鞘が厚くなった状態の
肥厚性腱鞘炎となり、腱が滑らかに、腱鞘というトンネルの
中を滑らなくなるためバネ指になると考えられています。
`治療は?
ご自宅で、できる治療法について、お話します。
朝起きると親指が曲がった状態で、伸ばすと痛い方は洗面器
にお湯をはりゆっくりと暖め、グーパー運動をしましよう。
また、親指の関節を曲げられないように、絆創膏固定をし
て、運動の制限をすると、炎症が治まり症状が、よくなるこ
ともあります。
このような、治療をしても症状がよくならない方は、専門医
を受診しましょう。
整形外科的保存治療としては、
痛みが強い時は、消炎鎮痛剤の内服。鎮痛剤の入った
湿布やテープ、
塗布薬(塗り薬)を使用し、親指を包帯固定し、
炎症が治まるのを待ちます。
理学療法による渦流浴やマイクロウェーブも効果があります。
さらに痛みが強い時は、腱鞘内に炎症を抑える薬を注射する
こともあります。
今までお話しした治療で症状が改善しないときは、
手術療法が最も確実ではやくよくなります。手術と聞くと誰
も気がすすみません。もちろんです。
次のページへ